韓国へ帰国、将軍から戦功表彰状を授与
1967年9月、彼はベトナムでの任務を終えて、韓国に帰国するようになりました。帰国前日は、こうして生きて帰れること、作戦中に命を守ってくださったことをただ神様に感謝し、ひたすら賛美と祈りで過ごしました。また戦場で作戦を共にした戦友たちと「帰国したら必ずまた会おう!食事でもして語り合おう!」と約束し、ベトナムを去り、帰国の途につきました。
帰国後の1967年10月13日、彼の軍功を称え、ベトナム陸軍司令官と韓国軍陸軍参謀総長 蔡命新(チェ・ミョンシン)将軍から戦功表彰状を授与されました。
ベトナム戦争派遣に「再志願」
しかし帰国して1カ月後、彼の元に訃報が届きます。それは、ベトナム戦争で彼が所属していた部隊の戦友たちが、次々と現地で亡くなったという報告でした。これまでほぼ死者が出なかった部隊に、急に死者が増えはじめ、3カ月後にはその数が25人にも達したのです。彼はその知らせに落胆し、号泣しました。戦友たちが亡くなったことで、彼は一層同胞民族に対する愛に目覚めるようになります。そして、少しでも残っている戦友を救えるように、また少しでも早くこの悲惨な戦争を終わらせたいという使命感に駆られ、彼はベトナム戦争派遣に「再志願」します。こうして、再び過酷で悲惨な戦場に行くことになったのです。
トッケビ6号作戦
彼が再びベトナムに渡った直後、「トッケビ6号作戦」という大きな戦闘がありました。これは、トゥイホア市郊外のミータイン村に潜む敵の部隊を掃討するために実施された作戦です。敵が潜んでいるとの通報を受け、彼が所属する部隊はその村の近くに行き、穴を掘って待ち構えました。夜になると、不意に目の前に数百人の敵の部隊が現れました。敵は村の中ではなく、村の近くの林に隠れ、夜になったら移動しようとしていたのです。なんと彼の部隊は、敵の部隊からたった数十メートルしか離れていないところにいたのですが、互いに全く気が付かなかったのです。双方とも意表を突かれ、驚く間もなく、激しく撃ち合う接近戦となりました。しかしそのような急迫した状況でも、彼は神様との約束を守るために、銃を上に向けてわざと外して撃っていました。そしてこの作戦でも、彼の部隊は一人も死ぬことなく、大勝利を収めるようになりました。夜が明け、戦場を歩くと、大量の敵の死体が野原を埋め尽くし、目を開けては見ていられない悲惨な光景が広がっていました。この時、彼は人生のむなしさを、激しく悟るようになったのです。